（スタッフ）

製作＝新東宝/永島一朗

原作＝全国児童綴方集

撮影＝鈴木博

音楽＝斎藤一郎

美術＝加藤雅俊

録音＝中井喜八郎

照明＝佐藤快哉

編集＝笠間秀敏

（コメント）

○子どもの作文がもとにつくられたもの。成瀬監督作品ということもあって見に出掛けた。

○５０年代の庶民生活が手にとるようわかる。そんな生活をたんたんと描いていく。姉の香川京子のナレーションで話が展開していく。兄は結核を患って寝ている。姉妹がふたり一つの布団で寝ている。もう一つの布団を母親と預かっている妹のこどもが、やはりひとつの布団で寝ている。守衛をやっている父親は、腕のいい洗濯屋だったことからも、軒先に洗濯屋を開業したいと願っている。醤油で味付けされた豆と焼酎一杯のコップ酒を贅沢だと言って飲む。

○タイトルにあるように、「おかあさん」の田中絹代がメインであるが、この生活の「貧しさ」は、平均的な庶民の暮らしだったにちがいないし、私の記憶にも刷り込まれている。だから、特別に悲惨だということではないが、兄の死や父親の死、そして貰い子される妹などに、生活の貧しさがあるのだが、この映画の登場人物たちは、人間としての尊厳や豊かさを見失っていない。それを母親が象徴的に体現している。

○成瀬監督については、どうもまだつかみどころがない。役者も揃えて無難な映画になっている。新東宝作品であり、助監督が石井輝男となっている。（2001.1.20）

（キャスト）

香川京子　
三島雅夫　
田中絹代　
加東大介　
岡田英次　
沢村貞子
片山明彦　
中北千栄子

公開年月日：1952.6.12

映画館：横浜シネマ・ジャック「日本映画大全集Part2」「男優と女優」