（スタッフ）

製作＝日活

製作＝監督教会　児井英生

撮影＝峰重義

音楽＝斎藤高順

録音＝神谷正和

照明＝藤林甲

美術＝木村威夫

（コメント）

　北原三枝の魅力がいっぱいだ。このタイトルも感心した。満月の夜に好き合っている男女を出会わせ、つきはのぼりぬといえば、情景も映画的だし、ふたりの関係がめでたく成就する、そんな意味が情緒的に表現されている。なるほど田中絹代という女性監督作品であると思わせたのは、杉葉子が着物から洋服に着替えるシーンや安井の膝に顔を埋めた後に、恍惚とした北原の横顔のアップなどか。

　小津安二郎の脚本の良さも、あって、映画の間がうまく計られている。笑いのタイミングがいい。北原の魅力をよく引き出している。田中自身の女中、よねやの替え玉電話の練習をするところも、笑わせる。
気になったのは、姉も妹も、ただ男に付いて東京へ行ってしまうことだ。結婚するとか、そんなことが省略されている。父親は、暢気に次は、未亡人になっている長男の嫁の番だといっている。相手の男も佐野周二ということになっている。
　また、特に、妹の北原には、ただ、男に可愛がってもらうような女では、つまらない気がした。仲直りする安井との会話にはあそこまで男が言うかなと思うが、そこに、田中監督の男への視点があり、何か言いたかったのだろうか。（1999.2.28）

（キャスト）

北原三枝　
笠置衆
山根寿子　
杉葉子　
安井昌二

公開年月日：1955.1.8

会場＝神奈川県立かながわ女性センターホール「第5回江の島女性映画祭」