映画タイトル:につつまれて 監督:河瀬直美 PAGE 247

(スタッフ)

製作=河瀬直美 

撮影=河瀬直美 

録音=河瀬直美 

照明=河瀬直美 

(コメント)

 8ミリからの16ミリへのブローアップ。映画は、見る前に、決して過度に期待してはならない。

 「萌え朱雀」の感銘から期待して見た。顔も知らない父親を探し、居場所を突き止め、電話するまでの気持ちの揺れを描いている。父親への電話のやりとりは、真にせまり、感動的だ。「ここから、映画は始まる」などとわかった風ないいぶりは、どうも、勝手な映画作りの脅迫観念にかられた妄想なのだと反省し、この映画の可能性に目を届かせてみよう。
 個人映画である。自分をさらけだしてみせる。これは、原一男の方法に代表されるが、河瀬は、さらに、普通に生きていることの「大切さ」に行き着く。写真を手がかりに子供時代の風景を探す。木は風に揺れている。木はどのくらい風に吹かれただろう。父もこんな風景を見ていただろうか。こういうとこから、作者は実人生と映画にも劇的に出会い、そして、何かを掴んで見せる。

 この映画ではわかりにくいが、「萌え朱雀」を見ると、映画をつくることで、何かを掴んで、それを映像化するという新しい方法に出会っていることがわかる。いいかえれば、映画そのものから発想し、映画をつくっている新しい世代が現れたといえる。それは、社会状況の認識や思想性などから、遠く離れているように見えながらも、真実に迫る方法になっている。

 映像的には、稚拙で、荒っぽいが、テレビアンテナが空を大きなトンボのように、飛び立とうとしているシーンや写真と風景、映画でいうストップモーションと動く画のコントラスト、自分史を写真で辿る自身の変化などが印象に残った。(1999.2.28)

(キャスト)

河瀬直美 




公開年月日:1995.11.11

会場=神奈川県立かながわ女性センターホール「第5回江の島女性映画祭」

                         

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