（スタッフ）

製作＝近代映画協会

製作＝糸屋寿雄　高島道吉

原作＝川端康成

撮影＝佐藤昌道

音楽＝池野成

美術＝薩本尚武

録音＝橋本国雄

照明＝神谷徹

編集＝

（コメント）

○あと３０年を映画という世界に関わることで生計を立てようとすることもあながちできないことではないが、いまでは、一歩一歩積み重ねた結果というように人生を考えるしかない。とにかく、いま、新藤兼人と近代映画協会のパワーと、故吉村公三郎や制作者の故糸屋寿雄のことなど思ってみる。

○さて、この映画だが、前作の「堕落する女」に続く作品である。田村高広の熱演が続く。若者役から中年、老年と演じ分けるのだが、ちょっと無理があると思う。

○老境に入った男たちのセックス心理は、新藤兼人のテーマの一つであり、谷崎潤一郎、川端康成、永井荷風への関心も強く持っているわけだが、この映画では老人の願望だが、眠っているだけというのは、どうも、理解ができなかった。

　もっと、みじめで淫らで見苦しいものではないか。主人公（田村）の性的欲望は理不尽で狂おしく、しかも自己中心的で自分勝手でわがままなものである。

○断末魔の喘ぎを発して、全裸で眠る美女に手を延ばして死んでいく友人たちを想像し、また、自分の学生時代の悲劇に終わった恋愛や中年女性との肉体関係など思い出していく。

　そして、二股掛ける娘の心理と結婚候補であるふたりの男の対比など、面白く見せてくれるが、それ以上ではない。娘の新婚旅行を大船駅で見送りひとり海岸を行く。「眠る美女」のおもかげもとめ彷徨う老境の性か。とりとめもない幻想か。（2001.11.18）

（キャスト）

田村高広
山岡久乃
香山美子
北沢彪
殿山泰司
初井言栄

製作年：1968

映画館：横浜シネマ・ジャック