（スタッフ）

製作＝大映

企画＝久保寺生郎

原作＝谷崎潤一郎「痴人の愛」

撮影＝小林節雄

音楽＝山本直純

美術＝間野重雄

録音＝渡辺利一

照明＝柴田恒吉

編集＝中静達治

（コメント）

○前にも見ている。どうも当時は十分に理解できなかったようだ。谷崎の原作で、なんどか映画化やテレビ化もされていている。業界としては話題性もあり、センセーショナルでもあることから、いい題材なのだろう（映画としては、３作目、京マチ子、叶順子とともに、大映で木村恵吾）。

　久しぶりに若い安田道代を見る。安田道代の肉体そのものがひとつの映画になっているという映画だ。小澤がナオミを育てあげる。ナオミの存在が男たちを翻弄し、小澤自身を翻弄する。小澤と別れるが、男の遍歴は止まらず、「共同便所」状態を抜け出せない。勝手な男達の「遊び」相手になっている。そんなナオミを小澤は憎いが愛おしくてたまらない。ナオミも小澤としか、うまくいかない。二人の関係は、肉体的にも精神的にも離れ難く、結びついていた。

○増村監督に聞いて見たい。若尾の「ダブルボデイ」ではなく、安田本人の体をもって撮り上げていくことの違いはどうだろう。映画には、多くの「嘘」がある。それは、つくりものとしてのフィクションであること、つくり手がいる、それは多くのスタッフが関わり映画世界をこしらえている。女優という表現媒体が、映画を見るものには大きな比重を占める。まあ、ここらは、またの機会に論じたい。

○増村映画としても大胆な映画にはなっている。谷崎の原作に当たってみたいが、自己主張を始める「ナオミ」と、小澤と安田との「純愛」は、増村映画としての表現か。（2001.3.31）

（キャスト）

小澤昭一　
安田道代　
田村正和　
倉石功
　

公開年月日：1967.7.29

映画館：横浜シネマ・ジャック「日本映画大全集Part3」「若尾文子と増村保造」