（スタッフ）

製作＝今村プロダクション＋東京12チャンネル

撮影＝栃沢正夫

録音＝紅谷愃一

助監督＝武重邦夫

編集＝井上治　久野久三

（コメント）
　フィリッピンの島々に住む人々の生活を撮りながら、差別されている集団があることに気づく。その被差別民たちに、なぜ差別されているのかと問うと、どうも宗教の違いだということがわかる。そして、暮らしがよくならないのは、海賊がやってきはめぼしい物は略奪していくからだという。そして海賊は、離れた島に住んでいるという。今村昌平は、ではその海賊に会い行こうと言うがだれも嫌だという。割増金を出すとも言うが断られる。そこで、いろいろな仲介の労を取ってくれていた弁護士に相談する。すると海賊の父親を知っているということで連絡しようと言ってくれる。

　いよいよ、おそるおそる海賊の住む島へ向かう。ところが、この海賊と呼ばれて恐れられていた首領は海賊ではなかった。無人島になった島に、こどもと妻、そして妻の家族で暮らしているという。妻も、こどもの教育が心配だということを話す。そして、海賊の仕業をなんでも、この「首領」の仕業にされているのだという。

　今村昌平たちは、夕日に照らされたこの島々を後にする。今村の詩的なナレーションが重なる。映像は、島の子供の遊び器具である大きなブランコが揺れているのを捉えている。子供達は、この島抜け出すことはあるのだろうか、というような言葉で締め括られる。錚々たる役者が声の吹き替えで出演しているが、それほどおもしろくはなっていない。（2005.10.4）

（キャスト）
声の出演
小沢昭一
北村和夫
西村晃
露口茂
近藤正臣
江守徹
浜田寅彦
小林昭二
森田育代

放映：1972
カラー／スタンダード／16mm／46分

映画館：川崎市民ミュージアム「今村昌平の世界」