（スタッフ）

製作＝「血と骨」製作委員会

製作＝若杉正明

配給＝松竹　サナドゥー

企画＝若杉正明

プロデューサー＝榎望

原作＝梁石日

脚本＝崔洋一　鄭義信

撮影＝浜田毅

照明＝高屋齋

美術＝磯見俊裕

衣装デザイン＝小川久美子

音楽＝岩代太郎

録音＝武進

編集＝奥原好幸

（コメント）
　映画「月はどっちに出ている」(1993)ほどの面白さはない。同じ原作、監督、脚本なのだがまったく違う映画になっている。崔監督作品については、いままでに、他には「Aサインデイズ」（1989）「マークスの山」（1995）を見ているだけだ。家族の誰にも恐れられ、そして誰にも胸襟を開くこともなく、しぶとく生き抜いた在日韓国人の男の一生は、日本の戦後社会を支えた暗部をひきずり出してみせる。ここまで救いのない自分勝手な生きようは、胸くそが悪くなるものだが、これでもかこれでもかと崔監督は手をゆるめない。

　そんななかで、真っ向から対抗して見せるオダギリ・ジョーが演じる腹違いの息子役の登場だけが、役者としての魅力とともに、この映画の魅力になっているということになってしまっている。と、いうようにしか見られなかった私には、どうもこの映画をうまく評価することができなかった。鈴木京香、田畑智子という魅力的なキャストを配し熱演を見せるが、これも、なんとも不発に終わってしまっているという展開としか見られず残念な気がした。

　戦後の時代をよく再現し力ある映像で押しまくってみせるこの映画は、なにがなんでも描いておきたいという監督の切実な執念のようなものがあるのだろう。

　「完成までに6年間要し、3年前には一度中止にもなっている。最初は6時間かかる脚本からなんども書き直し最後まで監督は3時間半の長さに執着したが、結果的には2時間24分映画になった。」と原作者である梁石日（ヤン・ソジル）が語っていた。また「映画と小説は別ものだと思うし、映画はよくやっていると思う。」とも語っていた。（2005.11.29）

（キャスト）
ビートたけし
鈴木京香
新井浩文
田畑智子
オダギリジョー
松重豊
國村隼
塩見三省

公開年月日：2004.11.6

映画館：TAMA映画フォーラム第15回映画祭／パルテノン多摩小ホール