（スタッフ）

製作＝テレビマンユニオン　バンダイビジュアルエンジンフィルム　シイースタイル　シネカノン　

配給＝シネカノン

プロデューサー＝是枝裕和

脚本＝是枝裕和

撮影＝山崎裕

美術＝磯見俊裕

編集＝是枝裕和

音楽＝ゴンチチ

（コメント）
　柳楽優弥という14歳の少年が、カンヌ国際映画祭で主演男優賞を受賞したことで話題になる。2004年のキネマ旬報のベスト1位にもなっている。母親が父親の違う4人のこどもをアパートに置き去りにしたという実際あった事件を元に15年前に構想されたものだという。ドキュメンタリー的手法で1年かけて撮影されたもの。

　しかし、酷い親もいるよねっていう印象以上のものが、残念ながら私には感じられなかった。柳楽くんたち、こどもたちは自然にカメラの前に存在していたし、取り立て問題があるというわけでなく、よく映画にしていたと思う。でも、映画として、どうも物足りなさとわかりにくさを残しているように思えた。それは、いかに自然に映画が時間を重ねていくように見えても、置き去りにされたこどもたちの運命は映画の作り手に握られてあるという映画の仮構性から自由ではありえないというもどかしさである。

　だから、トランクに詰め、羽田に妹の死体を運んで埋めるという行為に見ているものは醒めた目で、よく耐えてがんばっているねと思うが、そこには映画的な衝撃が緩和されいく。こどもたちは、演技するのではなく、うまく映画の中に存在して見せているとしても、これはフィクションだということの意味が映画の中で反省されていないように思う。

　なかなかうまく言えてないが、たとえば、映画のシーンとして、こどもたち4人が一緒にこのまま住めたらいいという願うなかで、至福な時間が一時でも見せてくれればよかったようにも思う。でも「こどもの面倒も責任も持てない親がこどもを生むことはないじゃねえか」ということだよね。（2005.11.30）

（キャスト）
柳楽優弥
北浦愛
木村飛影
清水萌々子
韓英恵
ＹＯＵ

公開年月日：2004.8.7

映画館：TAMA映画フォーラム第15回映画祭／パルテノン多摩小ホール