（スタッフ）

製作＝亀山千広　島谷能成　　

配給＝東宝

プロデューサー＝重岡由美子　小川泰　市川南

エグゼクティブプロデューサー＝石原隆　佐倉寛二郎

脚本＝三谷幸喜

撮影＝山本英夫

美術＝種田陽平

照明＝小野晃

録音＝瀬川徹夫

編集＝上野聡一

音楽＝本間勇輔

（コメント）
　「THE有頂天ホテル」（キネカ大森）を見る。「三谷幸喜監督」ということで期待してみると、どうもそれほどでもないという印象になる。劇作家、脚本家として力量が、並大抵のものではないことはよくわかるのだが、映画監督としての手腕についてはどうも疑問がある。それは最初に見た舞台「ラヂオの時間」が、めちゃくちゃ面白かったことがどうもいけなかったのかしれない。今回も決して特別悪くはないし、大いに笑ったところもあるのだが、凄く面白くて傑作だというようにはなっていない。（予告編で見て面白そうだな思った以上のことはなかった。）と06.1.28に書く。

　昨日は、三谷幸喜作・演出の「優しい十二人の日本人」をWOWOWのライブで見る。蜷川舞台でもそうだが、WOWOWは、今までのテレビ中継では見ることができなかった芝居というライブの放映を実現しているように思えた。とにかく面白さがうまく伝わってくる。
また、三谷幸喜の良さは、やはり舞台だよなと思う。生身の役者が発する台詞と演技が生きている。いま現在という日常を確かに切り取って見せて笑わせる。うまいものだと感心する。（2006.1.29）

　もう少し、この映画に触れてみると、たとえば、唐沢寿明とオダギリジョーが面白いかというと少しも面白くない。伊藤四朗と西田敏行はどうかといっても同じだ。それはそれで、それなりに笑えたよねといえば、まあおもしろいよねって感じではあるのだが。

　佐藤浩市と松たか子は、この映画では、なかなか重要な役回りだが、性格づけとして深みがなく人間的な魅力が少しも感じられない。そして、もっと大切な登場人物である役所広司と戸田恵子のコンビは、二人とも、役者としては嫌いではないが、新鮮味がまったく感じられない。役柄として、戸田は常識的だし役所は古めかしいだけだから、そんなに可笑しはない。だから、このふたりに絡む角野卓造と原田美枝子という意外なコンビで演じる夫婦も、決して面白い夫婦にはなっていかない。

　もうひとついうなら、ベルボーイ役の香取慎吾にもいえるが、映画は見せ掛けだけの有頂天的空騒ぎから、結局のところ、常識志向に収斂させててしまっている。わたしにはどうしても、三谷幸喜という才能は舞台で発揮されるものであるとしか思えない。（2006.2.10）

（キャスト）
役所広司
松たか子
佐藤浩市
篠原涼子
戸田恵子
生瀬勝久
麻生久美子
ＹＯＵ
オダギリジョー
角野卓造
寺島進
原田美枝子
唐沢寿明
伊東四朗
西田敏行

公開年月日：2006.1.14

映画館：キネカ大森