製作国＝イラン

（スタッフ）　

脚本・編集＝モフセン・マフマルバフ　

（コメント）
　「イランで起きた実際の事件」を元につくられた監督第一作作品。これは、いままで家の外に出してもらえなかった12歳の双子の少女が、はじめて外の世界に接する驚きなどをドキュメンタリー的に描写され、二人が初めて見て興味を持っていく様子が自然に展開する。観客は、ふたりの少女が、見るものを触れるもの、出会うものなど、はらはらとしながら見ていくことになる。そして、長い間外へ出さなかった理由もあきらかになる。それは、目の不自由な妻と幼い娘たちを思いやった父親の気持ちだったことがわかる。少女ふたりの屈託のない笑顔とともに、孤立していた家族への「誤解」が、次第に解かれていく。そんな映画になっている。　（2006.10.20）

　「私自身、初めてサラエヴォに赴いたときから、何かが私にこう言っているのを感じました。ここにいらっしゃい、と。サラエヴォは、キャメラを必要としていて、映写機を必要としていない場所です。／キャメラが映写機のまさに切り返しショットであり、いい映画は切り返しショット、キャメラから始まっています。」と述べて、ゴダールは、「この何年間で私が好きだった映画」として、その1本に、この「りんご」を挙げている。それに続けて、ゴダールはこうも言っている。「これらは、みなキャメラを必要としている映画で、その必要から、言うべきことを映す必要から出発しています。しかしほとんどすべての映画は映写機から出発していて、映画作家たちは撮影される前にすでに述べたがります。彼らはキャメラを冒涜し、言説に隷属させてしまっているのです。」　　
（2006.11.3）

（キャスト）
マスメ・ナデリー
ザーラ・ナデリー
ゴルバナリ・ナデリー


　

製作年：1998
（1998年カンヌ映画祭〈ある視点〉正式出品）

上映時間：86分

映画館：シャンテ・シネ「BOW30映画祭」