（スタッフ）

製作＝宝塚映画・滝村和男

原作＝山崎豊子

脚本=八住利雄　川島雄三

撮影＝岡崎宏三

音楽＝真鍋理一郎

美術＝小島元司

録音＝長岡憲治

照明＝下村一夫

編集＝宮田味津三

（コメント）

○女優特集なので、山田五十鈴（千代）を見に出掛けて思いがけず乙羽信子（お松）が出てきて注目する。

お松は丁稚奉公時代からの森繁久弥（吾平）との知り合いで、二人は結婚するつもりだったが、主人がすすめる千代との縁談のため、お松は身を引き影ながら吾平の行く末を案じている。言い役回りである。

○話しは、吾平が昆布問屋の主人（中村雁治郎）に偶然拾われ、丁稚奉公しながら「暖簾」わけされるほど主人に認められる。

その後、千代と結婚し店も順調に行くのだが、工場をつくるなど仕事を広げたところに、大きな台風に見舞われ大きな被害を出す。そして戦争が始まる。店は焼かれ壊滅状態のにある戦後、次男（孝平・森繁の二役）の活躍で東京にまで進出する「店」を起こす。

○印象に残っているシーンを挙げると、映画の冒頭、子供の吾平が主人（中村）の後を付け、主人は付けてきているのを知って巻こうとする、そんな繰り返しで昆布問屋の店の前に来ているという二人の出会いは映画のはじまりとしては洒落ている。

また、祭り雑踏の大きな流れに抗うように、お松が逃げて、吾平が追う。追いつき、吾平は一緒になろうというが、振り切って身を引くお松が雑踏の中へ、追う吾平という二人の別れのシーン。

そして、戦後、夫婦が、とりわけ吾平が期待していた長男が戦死し戻らないという知らせを千代が吾平に伝えるシーン（どうもこのシーンは、前に見たような気がしてきた）。

ここでは、老け役の森繁と山田に哀愁がある。戦中、戦後と吾平を苛立たせ怒らせていたのは、川島雄三監督の「戦争」へ思いなのだろうか。（2002.11.22）

（キャスト）

森繁久弥
山田五十鈴
乙羽信子
中村雁治郎
浪花千栄子
山茶花究
中村メイコ　

公開年月日：1958.6.15

映画館：横浜シネマ・ジャック「君美わしく・日本映画女優特集Part1」