（スタッフ）

製作国＝フランス

製作＝フィリップ・カルカソンヌ

脚本・台詞＝セルジュ・フリードマン
パトリス・ルコント

撮影＝エドゥアルド・セラ

音楽＝エドゥアール・デュポワ

録音＝ポール・レネ

編集＝ジュエル・アッシュ

（コメント）

　パトリス・ルコント監督作品は、ビデオで「イヴォンヌの香り」を見ている。映画館で見るのは初めてである。
　娼婦マリオンと娼婦の子として、娼館で育ったプチ・ルイの愛の物語である。娼婦の生活から抜け出した女として、憧れを持って語れる。川が滔々と流れている。川辺にピクニックに来ていることがわかるが、ここで何が起きたかは明かされない。映画は回想に入っていく。　プチ・ルイ（パトリック・ティムシット）は、娼婦マリオン（レテシア・カスタ）に運命的に出会い、夢を見ること大切さを教え、その夢を叶えてあげるために、献身的に尽くす。まず、理想的な男性にめぐりあうという夢の実現にプチ・ルイは奔走し、マリオンがディミトリ（ヴアンサン・エルバス）を好きだと知って、二人を橋の上でうまく出会わせ、ふたりは結ばれる。奇妙な三角関係の中で、三人の貧しい生活がつづく。ディミトリは、仲間のやくざに追われ、いつも逃げ回っている。どうも理想の男ではないとプチ・ルイは思っているが、次の夢である「歌手」デビューさせるためにオーディションを受けさせ、これも実現し、レコードが発売される。
　この三人の危うい関係は悲劇を招き寄せる。川が流れる。草の上に妖艶な姿態を見せるマリオン、蓄音機のレコード盤が空回りしている。銃声。
　この映画を思い返すと、運命的な生き方を強いられた「三人の関係」が映像化されたシーンが断片として強烈に呼びさまされる。
　それは、１　マリオンとディミトリの二人がキスし、雨も降ってくるのもかまわず長く抱き合う、先ほど触れたプチ・ルイが仕組んだ橋の上のシーン。２マリオンがオーディションで歌うシーン（二人の夢の実現への試み）。３二人にベットを譲って自分はソフアに眠るプチ・ルイ。４三人逃げまどいながら、疲れきったマリオンが眠るように、ディミトリに抱えられ、足下をプチ・ルイが手で支え、抱くようにするシーン。５銃声とともに、悲鳴を挙げて叫び、駆け寄るマリオンを押さえるプチ・ルイ。
　三人の役者が気持ちよくうまく生きた映画だ。（2003.7.13）
　

（キャスト）

パトリック・ティムシット
レテシア・カスタ
ヴアンサン・エルバス

製作年：2002

公開年月日：2003.3.1

映画館：横浜シネマ・ベティ