（スタッフ）

製作国＝ドイツ　イタリア

製作＝ベルント・アイヒンガー

製作会社＝コンスタンティン・フィルム

原作＝ヨアヒム・フエスト「ヒトラー地下要塞における第三帝国　最期の日々」　トラウドル・ユンゲ＆メリッサ・ミューラー「最期の時間まで：ヒトラー最期の秘書」

脚本＝ベルント・アイヒンガー

撮影＝ライナー・クラウスマン

編集＝ハンス・フンク

美術＝ベルント・ルペル

音楽＝シュテフアン・ツハリアス

衣装＝クラウディア・ボプジン

録音＝ローラント・ヴィンケ

（コメント）
　6月に見た「ドイツ映画祭」での10本に、この映画を加えて11本目となる。日本での上映が決まっていたので、あえて10本（10本見られるセット券を購入していた）の中に、この映画を外していた。この映画の予告篇は、この映画祭で他の映画を見る前に必ずやっていたので10回見ることになった。そして「埋もれ木」を見たときにもやっていたので、11回見たことにになる。予告編でのヒトラーに扮するブルーノー・ガンツの台詞「将校たちの粛清やっておけばよかった。スターリンのように。」と激怒するシーンや「2万人の若い兵士が死んでいます」という報告にヒトラーは「それは若者の義務だろう」と言い捨てるシーンなど、なかなかの迫力があり、この映画「最期のヒトラー」を見たいと思わせるに十分だし、しかも輝くように純真な若い女性の秘書や子どもたちの運命、砲弾が交うなか次々と死んでいく兵士、そして「名もなきアフリカの地で」の妻役のユリアーナ・ケーラーの演技などと興味を惹かれる。監督はオリヴアー・ヒルシュビーゲル、1957年生まれである。国内でも大ヒットし、2004年アカデミー賞外国映画賞にノミネートされる。すべての登場人物の人間関係をうまく追えなかったところがあるのだが、最後までヒトラーのそばを離れなかったゲッペルス宣伝相夫妻とその子どもたちの悲劇や自殺前日にヒトラーと結婚式を挙げる愛人エヴア（ユリアーナ・ケーラー）、最後まで残るという女性秘書たちに感情移入して見ていた。この歴史的な時間をうまく映像化していたと思う。戦後60年、ベルリンの壁の崩壊後16年という現在から見られた歴史的事実として映画はたんたんと展開し、砲弾の地響きと銃声を背景に戦争末期における最後のあがきと死（銃殺と自死も含む）が描かれていく。そして、対照的な生き延びようとする人間の意志がさわやか風を呼び込む。そしてラストに秘書のモデルである本人（トラウドル・ユンゲ）が登場し「ゾフィー・ショル」が同じ年齢であったことを後で知ることになったと衝撃を語る。
　過酷なドイツの歴史に真摯に対峙しようとしている映画人の良心が感じられた。「ゾフィー・ショル」の存在は多くのドイツ人に共通した衝撃でありかつ誇りに感じているのだろう。（2005.8.22）

（キャスト）

ブルーノ・ガンツ
アレムサンドラ・マリア・ララ
ユリンナ・ハルフォーフ
ユリアーネ・ケーラー

　

製作年：2004
初公開年月日：2005.7.9
上映時間155分

映画館：銀座テアトルシネマ