（スタッフ）

製作＝ウォン・カーウァイ

撮影＝クリストファー・ドイル

美術＝ウイリアム・チョン

音楽＝ダニー・チャン

（コメント）

　いい映画だ。世界的な映画の地平に並ぶいい映画だ。こうした映画がいきなり誕生したわけではない。できあがるまでの製作過程には紆余曲折があったという。この監督には方法論がある。それは確固たるものとして、あらかじめあるわけではなく、一つの映画が生まれるために、その方法が生まれる。そんな奇跡が起きるのであり、実現されてしまうのだ。
　シナリオが制作途上でどんどん変えられていってしまうという。俳優もスタッフも監督への信頼は（いや忍耐力か）尋常ではない。撮りながら監督自身が考えている。監督は迷っているのか。いや、それとはちがうのだろう。ここにおいて、大きなダイナミズムがはたらき、映画が動き出すのだ。これも、並大抵のことではない。奇跡が起きたのだ。
　ＨＡＰＰＹ　ＴＯＧＥＴＨＥＲが「ブエノスアイレス」の原題である。印象に残る勢いがあって明るい同曲で締めくくられる。
　撮影はもちろんクリストファー・ドイルである。前方がスローでバックが普通に動く効果などしゃれた画面といいショットがあり、画づくりに緊張が漲っている。おおいに魅力的だ。
　南米大陸の最南端ま端まで旅立つ男を南米の地で見送り、故郷へ戻る。二人の孤独と悲しみが胸を打つ。（1998.7.15）

（キャスト）

レスリー・チャン
トニー・レオン
チャン・チェン

公開年月日：1997.9

映画館＝横浜シネマ・ベティ

他のウォン・カーウァイ作品花様年華（2000）
恋する惑星（1994）